本づくりは、著者ひとりの力では成立しません。
出版社、編集者、デザイナー、校閲者、営業、流通──多くの専門家が関わり、ひとつの作品が社会に出ていきます。
その中心にいるのが編集者です。
出版の現場では、こうした言葉がよく使われます。
「商業出版の著者は、出版社にとってお客様ではない」。
「出版社は下請けの印刷会社ではない」。
著者と編集者はどちらかが上でも下でもなく、対等な立場で本の価値を最大化していく関係です。
いい本、売れる本をつくるために欠かせないのは、この「関係性の整え方」です。編集者を尊重し、出版社を信頼できる著者ほど、本の完成度も販売成果も高くなるのです。
編集者は「読者の代弁者」
編集者は著者の言葉を削る人ではなく、読者の心に届く形に磨き上げる専門家です。
原稿の一文一句に「これで本当に伝わるのか?」「読者の人生に何が残るのか?」という視点を注ぎ込みます。
ある経営者が出版した際の話です。
初稿の原稿は「自社の成功体験」の羅列でした。
これに対して編集者は一言、「なぜうまくいったかではなく、どんな迷いがあったかを書いてください」と伝えました。
著者は悩みながらもその助言を受け入れ、原稿を修正。結果として、読者が“自分ごと”として感じられるリアルな一冊となり、書店での売上は当初予測の3倍に伸びました。
編集者は、著者の敵ではなく、最も信頼できる“読者代表”です。
ときに厳しい言葉をくれるのも、より多くの人に届くため。その意見をどう受け止めるかが、最終的な完成度と売上を左右します。

「編集者との関係」で本の質が決まる
出版は、最後まで“人間関係の仕事”です。
とくに編集者との関係がスムーズであればあるほど、企画は磨かれ、表現は豊かになり、販売戦略にも一体感が生まれます。逆に、関係がこじれると、どんな良い内容でも世の中に届きにくくなります。
その際に気をつけるべきポイントは、
1.出版社を「パートナー」として扱う
商業出版は、出版社が数百万円単位の制作費を先行投資し、「この企画は売れる」と判断して動き出します。
そのリスクを引き受ける出版社に対して、著者が感謝と敬意を持って接することが、良い本づくりの出発点です。
「お願いしている」ではなく、「一緒に挑んでいる」という意識が大切です。
2.トラブルが起きたときこそ信頼を見せる
出版には、思い通りにいかないことがつきものです。
タイトルやデザインに関する方向性の違い、内容の修正や考え方の違い、スケジュールの変更など。そんなときこそ、冷静に、前向きに対応する著者ほど、編集部の信頼を得ます。柔らかく、誠実に対応できる著者は、自然とチームの中心になります。
3.「読者目線で考える」姿勢を持つ
編集者は常に「読者が買いたくなるか」「本屋で手に取るか」を考えています。
著者も同じ視点を持てば、すぐれたタイトル、魅力的な構成、説得力のある文章が生まれます。“自分が言いたいこと”よりも、“読者が知りたいこと”を優先できる著者が、結果的に売れる著者になります。
出版社は「本を売るプロフェッショナル」
出版社は、著者のアイデアを社会に広げるための流通網と販売ノウハウを持っています。企画会議、装丁デザイン、書店営業、プロモーション戦略──そのすべてが「本を売る仕組み」の中にあります。
編集者はその司令塔として、書籍と世の中をつなぐ役割を果たします。
本をヒットさせるためには、内容だけでなく「売れる構造」を理解することが必要です。
タイトルや帯文は多くの案から検討し、表紙デザインも読者層によって何度も調整されます。この一つひとつの提案に、著者が真摯に向き合うことで、本は作られていくのです。
「売れる本」は、信頼から生み出される
本を出すこと自体はゴールではありません。
読者に届き、売れ続け、誰かの人生に残ることが本当の出版の成功です。
そのためには、編集者や出版社との信頼関係が不可欠です。
企画の段階で意見を交わし、原稿で議論し、販売戦略を共有する。すべてのやりとりの積み重ねが「伝わる本」「売れる本」を生み出します。
編集者を信頼し、出版社の判断を尊重しながら、自分の言葉を磨く。
その謙虚さと誠実さこそが、ヒットを生む最大の武器です。
「売れる本」は、内容だけでなく、その本をつくった人たちの信頼でできているのです。
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