「いまさら本なんて、誰が読むの?」
そんな声を、私たちはこれまで何度も耳にしてきました。SNSの投稿がすぐに何万回も再生される時代に、書籍は時代遅れに見えるかもしれません。でも、果たして本当にそうでしょうか。
「情報」は流れていくが、「記憶」は残る
私たちは、毎日、情報の洪水の中で暮らしています。SNSのタイムラインには一瞬で流れていく投稿、次々と自動再生されるショート動画。情報は目の前を通り過ぎていくばかりで、次の瞬間にはほとんどのコンテンツのことは忘れてしまいます。
ある企業のマーケティング担当者が、こう嘆いていました。
「動画はバズった。でも売上には結びつかなかったんです。」
なぜか?
それは、情報が「記憶」と結びついていないからです。SNSに代表されるファストメディアの世界では、発信のスピードが価値であり、内容の深さは後回しにされがちです。しかし、ブランドが本当に人の心に残るためには、“記憶できる速度”で届ける必要があるのです。
書籍は「体験」するメディアです
ファストメディアは即時性と拡散性に優れていますが、情報の深さや持続性においては限界があります。一方で書籍は、時間に追い立てられず、読者が自分のペースで没頭できる“スローメディア”です。
読者は、書籍を自らの意思で選び、手に取り、ページをめくります。そこには能動的な体験があり、著者や企業が込めた思想に触れる時間があります。この「手触りを伴う体験」こそが、記憶に残るブランド体験になるのです。
書籍の価値は、その「質量」にあります。
手の中に重みを感じる瞬間、そのブランドの「存在」が確かにある。
本棚に並び、年を経ても消えない。その姿こそ、企業が社会と結ぶ“長期的な信頼”の象徴です。SNSが「拡散」でつながるなら、書籍は「記憶」でつながる。これがスローメディアの本質です。
“デジタル疲れ”の今、書籍が「信頼」を生む
いま、多くの経営者が感じているのは、SNSや広告の「即効性の罠」です。
確かに、クリック数や再生回数はすぐに可視化できる。しかし、その数字が消えたとき、ブランドは何を残せるでしょうか。
動画で話題になっても売上につながらない。しかし、一冊の本をきっかけに数億円単位の取引が生まれるケースもあるのです。
それは、書籍というメディアが“信頼”を生む構造を持っているからです。
読者は、著者=企業が何を考え、何を大切にしているのかをじっくり理解しようとします。つまり、読むという行為そのものが、信頼形成のプロセスなのです。
SNSの拡散は瞬発力。
出版の浸透は持久力。
その持久力こそが、これからのブランドの競争力になるのです。
「本を読む」ことで心が動く
「なぜ今、あえてアナログな出版なのか?」
この問いへの答えは明快です。
デジタルの時代にこそ、人は「アナログな感覚」を求めているからです。
スマートフォンの画面で無数の情報を見ている私たちにとって、書籍は実際に「触れられる情報」です。
手に取る。ページをめくる。インクの匂いを感じる。
その体験が、思考を深め、心を動かす。

この「体験の質」こそが企業にとっての差別化ポイントになるのです。
一時的な注目だけでいいのでしょうか?
いま、企業の情報発信は「速く、多く、派手に」ということが重要とされています。けれども、その潮流の反対側で、「ゆっくり、深く、長く伝える」という方法が静かに見直されはじめています。
確かに出版は時間がかかります。編集には労力がかかります。しかし、そのプロセスを経て生まれる「本質的な言葉」こそが、企業の信頼をつくるのです。
もし、あなたがいま、ブランドの発信に迷っているなら、立ち止まって考えてみてください。
一時的な注目を集めることが、本当に「伝わる」ということなのでしょうか?
一冊の本を通じて誰かの記憶に残る。こうした本質的なブランディングこそが、企業にとって必要なマーケティングなのではないでしょうか。
出版は、ブランドの“記憶装置”である
出版とは、過去と未来をつなぐ「記憶のメディア」です。
ある経営者は、会社の理念を書籍にまとめた後、私たちにこう語ってくれました。
「SNSの投稿は消えていきます。でも、社員の心にも、お客様の心にも本は残るんです。」
企業の哲学が本という形で残るとき、それは単なる販促ツールではなく、ブランドの“記憶装置”となります。
速すぎる世界で、ゆっくりと心に届くもの――それが、出版の力なのです。
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